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親の愛情と子の成長

てぶくろをかいに

2018/11/07
てぶくろをかいに

名作、新美南吉さんの「てぶくろをかいに」です!

私が子どもの頃に家にあったのは、黒井 健さんが描かれたものでしたが、今回は柿本 幸造さん。

印象が違ってくるでしょうか?楽しみです。

おすすめ年齢

5〜12歳
※ 個人の主観です

おすすめ度

★★★★★ 5
※ 最大5まで、個人の主観です。

全体のあらすじ

寒い冬が北方から、きつねの親子の住んでいる森へもやってきました。

ある朝、ほらあなから子どものきつねがでようとしましたが、

「あっ。」

と叫んで、目を押さえながら母さんぎつねのところへ転げてきました。

「かあちゃん、目に何かささった、抜いてちょうだい、早く早く。」

と言いました。

(母さんぎつねはびっくりしますが、何も刺さっていない。どうやら太陽が雪に反射したのがまぶしくて、何か刺さったと勘違いした様子)

(子ぎつねは外に出て、恐らく初めてあろう雪を堪能します)

まもなくほらあなへ返ってきた子ぎつねは、

「おかあちゃん、おててが冷たい、おててがちんちんする。」

と言って、濡れてボタン色になった両手を母さんぎつねの前に差し出しました。

母さんぎつねは、その手に、はーっと息をふっかけて、ぬくとい母さんの手でやんわり包んでやりながら、

「もうすぐ暖かくなるよ、雪を触ると、すぐ暖かくなるもんだよ。」

(とは言え、しもやけになったらかわいそうなので、町へてぶくろを買いに行くことにします)

てぶくろをかいに1

(夜になり、ぎんぎつねの親子は、しんしんと積もる雪の中、町へと向かいます)

(やがて町の灯りが見えると、母さんぎつねは急に足がすくんでしまいます。母さんぎつねは、人間にひどい目に合わされた過去があり、人間が怖いのでした)

(どうしても足が動かず、子ぎつねひとりで行かせることにします)

「ぼうや、おててを片方おだし。」

その手を、母さんぎつねはしばらく握っている間に、かわいい人間の子どもの手にしてしまいました。

てぶくろをかいに2

(珍しそうに人間の手を観察する子ぎつね)

(母さんぎつねは、お店への行き方と、お店の戸を叩いてこんばんはと言うと、戸が少し開くことを教えてくれます)

「その戸の隙間から、こっちの手、ほらこの人間の手をさしいれてね、この手にちょうどいいてぶくろ頂戴って言うんだよ、わかったね、決して、こっちのおててをだしちゃだめよ。」

(人間はきつねにてぶくろを売ってくれないし、見つかったら檻に入れられてしまうと教え、2枚の白銅貨を渡します)

(子ぎつねは、見慣れない初めての町並みを歩きます)

てぶくろをかいに4

(なんとかお店を見つけ、教えられたとおりに戸を叩いてこんばんはと言うと、戸が少し開きました)

(しかし、戸から漏れ出た強い光に驚いて、なんと人間の手ではなく、きつねの手の方を差し込んでしまいます!)

「この おててに ちょうどいい てぶくろ ください。」

(店主はきつねの手を見て、さては木の葉で買いに来たんだな、と思いますが、受け取ったお金を確認すると本物でした)

(店主は、子ども用の毛糸のてぶくろを、子ぎつねの手に持たせてやりました)

てぶくろをかいに3

子ぎつねは、お礼を言ってまた、もと来た道を帰り始めました。

「お母さんは、人間は恐ろしいものだっておっしゃったが、ちっとも恐ろしくないや。だって僕の手を見てもどうもしなかったもの。」

(少し人間に興味が湧いた子ぎつねは、ある家のそばを通りかかると子守唄が聞こえてきます。それは母さんぎつねと同じ、美しく優しい唄声で、人間のお母さんに違いないと思います)

(家の中から会話が聞こえてきます。人間の子どもは、森の子ぎつねは寒くて泣いているんじゃないかと心配し、人間のお母さんは、きっとお母さんぎつねが子守唄を歌って寝ようとしている、と答えます)

(子ぎつねは、そのような会話を聞いてお母さんが恋しくなり、母さんぎつねのもとまで急いで戻ります。心配していた母さんぎつねは、抱きしめて無事を喜びます)

てぶくろをかいに5

(親子は夜中の雪道を帰っていきます)

「かあちゃん、人間ってちっとも怖かないや。」

(きつねの手を見せたのにてぶくろを売ってくれたことを伝えます)

「まあ!」

と呆れましたが、

「本当に人間はいいものかしら。本当に人間はいいものかしら。」

とつぶやきました。

感想

柿本 幸造さんの描く幻想的な絵が、新美南吉さんの文章や物語にしっかりマッチしていて、引き込まれてしまいました。

雪に町に買い物に人間。子ぎつねにとっては初めてのことだらけでしたが、一つ一つ経験を積んで行きました。

そして最後はお母さんの意見とは違う、「人間はそんなに怖くない」という考えをも持ちました!

こうやって子どもは、親の枠をも超えて大きくなっていく、という親へのメッセージを感じます。

反面、子ぎつねは、人間の恐ろしさをまだ知らないという危うさが残っています。最悪の事態にならないよう、その点は親がきちんとサポートしていかなくてはなりませんね。

また、人間と動物、どちらにも優しいお母さんがいて、愛情を受けて暮らしている。人間の中にも、お母さんぎつねをいじめた悪いやつもいれば、てぶくろを売ってくれるような人もいる。

読み手の子どもに対しては、そうした生き物の共通点であったり、人間として生きていく上でのモラルであったりを教えてくれているように思います。

ただ教訓の表現のためとは言え、やっぱり自分の怖いところに子どもひとりで向かわせるのは、親としてちょっと(笑)

子どもの反応

5歳4ヶ月の息子。

今回は母親が選んだ絵本で、自身が選んだものではなかったので、最初はあまり乗り気ではなかったのですが、読み始めるとしっかり最後まで聞いていました。

間違って、店主にきつねの手を差し出してしまったときは、

「ええええっ、うそー!こわい〜〜〜っ」

とめちゃくちゃ良いリアクションをしてくれました(笑)

文字量がやや多めなのと、少し大人向けの文章だったので、少し心配していたのですが、息子もしっかり話に引き込まれていたようで安心しました。

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プロフィール

  • パパ
    パパ
    記事を書いている人。最近ママに怒られた娘が助けを求めに来るのが嬉しくて仕方ない。
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    長男5歳。好きな番組は、ピタゴラスイッチに始まり、すイエんサー、ネプリーグへ。将来は野球の審判になりたい。
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    もうすぐ2歳。兄とは違い活発。オシャレ好きでママの化粧ポーチから口紅を取り出し、たらこ唇になっていることがある。

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